人権擁護啓発ポスターコンクールは、府内の小・中・高等学校の児童・生徒が、人権をテーマとしたポスター(絵画)の制作を通じて基本的人権について一層理解を深め、人権尊重の精神を養う機会とするため、昭和59年度から実施しています。今年度のコンクールには、187校から5,332点の応募をいただき、以下のとおり入選者が決定いたしました。
作品の紹介
知事賞
木津川市立相楽台小学校 4年
菊地 美織(きくち みおり)さん
寸評
夏の真っ赤な太陽に応えて元気よく咲くひまわりのように、女の子に優しい声かけが、笑顔の花を咲かせているようです。二人の表情と色鮮やかなひまわりから、心の通い合った瞬間が伝わってきます。見ている者も思わず微笑み、前向きな気持ちにさせてくれます。描きたいことがしっかりとイメージできていて、それをうまく色彩で構成した作品です。
京都市長賞
京都市立藤森中学校 2年
水浦 彩月(みずうら さつき)さん
寸評
人権の大切さを直接訴える表現ではなく,誰もが嬉しい気持ちになる笑顔の大切さを表現することにより,全ての人が幸せな気持ちになれる笑顔を贈るという表現を明るい色調で作品に仕上げています。細部まで丁寧に描かれた花束と,幸せそうな笑顔をそれぞれ表情豊かに描くことで,「笑顔で暮らすことのできる社会の大切さ」と「贈る人も贈られる人も笑顔になれる幸せ」を表現し、多くの人に人権の大切さを訴える作品になっています。
京都府教育委員会教育長賞
綾部市立吉美小学校 1年
田原 小華(たはら こはな)さん
寸評
3人の豊かな表情から、楽しいこともつらいことも何でも伝えることができる「なかま」っていいなと感じました。絵は自分が表したい気持ちにならないと描くことはできません。作者の心情が素直に伝わる伸び伸びとした作品で、見る者も同じ「なかま」になったような楽しい気持ちになります。
京都市教育委員会教育長賞
京都市立九条弘道小学校 5年
吉田 結菜(よしだ ゆつな)さん
寸評
虹に向かって勢いよくハートを掲げる子どもたちの表情が生き生きと描かれています。お互いが協力して温かい思いやりを広げていこうとする気持ちが伝わってくようです。美しい色遣いと人物それぞれを丁寧に描き分けていることで,作者の気持ちがしっかりと伝わってくるようです。
京都府市長会会長賞
京都市立梅津北小学校 4年
石田 天星(いしだ てんせい)さん
寸評
様々な表情を丁寧に描き分け,それぞれの違いがあってもそれぞれのよさがあるのだ、ということを画面を見る者に訴えかける作品になっています。暖かい配色を中心に作品が仕上げられ,画面を見ていると思わず笑みが浮かぶようなほのぼのとした温かさが感じられます。
京都府町村会長賞
与謝野町立市場小学校 2年
福井 琉花(ふくい るか)さん
寸評
友だちみんなでなわとびの練習です。怖がっている友だちとは手をつないで、引っかかっても笑顔で助けながら、みんなの気持ちが一つになっていきます。友だち一人一人の特徴を丁寧にとらえ、様子がよくわかるように表現されています。まさにみんなでなわとびを飛んでいるような感じを上手く描いた作品です。
京都府人権擁護委員連合会長賞
京都市立納所小学校 6年
吉原 北翔(よしはら ほくと)さん
寸評
友達同士が向かい合って話している様子が,お互いの顔の表情から察することができます。表情を丁寧に描き分けることによって、友情や笑顔の大切さを見るものに訴えかける作品となっています。人物を画面上に大きく配置することで誰とでも仲よくすることが素晴らしいことだというテーマを強調しています。
京都商工会議所会頭賞
京都市立双ケ丘中学校 2年
金山 芽生(かなやま めい)さん
寸評
笑顔の表情がとても優しげです。色遣いも笑顔に合わせた暖かい色を中心に配色がされて、見る人を温かい気持ちにさせてくれます。電球の中の笑顔があり,フィラメントがハートの形になっていて,電球の明るさとハートの組み合わせに工夫が見られます。
京都府商工会連合会会長賞
井手町立泉ヶ丘中学校 3年
池田 佳代(いけだ かよ)さん
寸評
作者のメッセージを大切にした作品です。強いメッセージがシンプルな絵でストレートに表現されています。作品が一際目立つのは、丁寧に作品を完成させる力があってこそできるものです。色彩のバランスや大胆な構成を取り入れ、陰影を上手く付けることで立体感を表現した作品です。
京都府中小企業団体中央会会長賞
相楽東部広域連合立南山城小学校 5年
吉田 桜(よしだ さくら)さん
寸評
心地よいメッセージが素直に響きながら入ってきます。それぞれの握る手に表情があり、ふんわりと宙に浮くような感覚と優しさが伝わってきます。横から伸びてきた赤いリボンがしっかりと結びついてアクセントとなっています。現代的でデザインセンスの高い作品です。
京都府農業協同組合中央会会長賞
京都府立綾部高等学校 2年
藤田 澪(ふじた みお)さん
寸評
描かれている女の子は美術が得意なのでしょう。持っている色鉛筆から絵があふれて出てきます。個性と色という言葉を上手く組み合わせて作品に仕上げています。愛らしいキャラクターが「あなたも一緒に描いていきましょう」と誘ってくれているようです。色彩感覚がすばらしい作品です。
京都府社会福祉協議会会長賞
京丹後市立大宮南小学校 6年
鈴木 夏乃(すずき かの)さん
寸評
社会全体のことを考えることは大切です。身近で自分のできることからはじめることも大切なことです。作者のメッセージの「小さな気づかい」が大きく広がっていきます。絵本のような表現と、その優しい気持ちに見る者の心が和みます。だれかが見てなくても、太陽が見てくれていると聞こえてくるような作品です。
応募作品全体講評
今年も多くの学校で「人権擁護啓発ポスターコンクール」への取組をしていただき、たくさんの優秀な作品が集まりました。それぞれの作品に込められたメッセージや優しさに触れることができ、審査をしていても心が温まりました。
ポスターは、他者の立場に立って、伝えたい内容について分かりやすさや美しさなどを考えて表現しなければなりません。ポスターを描くことがまさに人権擁護啓発につながっていきます。また、何かを描く時、実際にその場所に行ったことがあったり、経験や体験したことがあると作品の説得力は強くなります。審査において、目を引く作品はそのようなところがあったと思います。
今回の審査で、全体を通して感じたことは、言葉の表現がとても豊かであったということです。実際に見て、経験し、そこから何かを感じ取って、その感じたことを素直に表現した言葉は心に響いてきます。実感を伴わない言葉は伝わりません。そしてその言葉をどのように絵で広げていくかがポイントとなります。絵ばかり目立ってしまい、言葉が埋もれてしまっては作品は広がりません。今回の入選された作品の多くが言葉と絵のバランスの優れたものでした。
今後も、本コンクールが、人権を身近な問題として考える機会とすることを第一の目的としながら、自分のイメージを広げ、色や形を工夫し創作する図画工作・美術教育の充実を図る取組としても、有効に活用されていくことを願っています。
そして、これからの社会は、作品に描かれている「優しさ」や「思いやりの気持ち」があふれ、未来を担う子どもたちの笑顔で一杯になることを心から願っています。
※他に優秀賞26点、佳作62点があります。
平成26年度人権擁護ポスターコンクール 受賞者一覧(PDF形式 401KB)
※学校名・学年は、受賞時のものです。