人権擁護啓発ポスターコンクールは、府内の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・特別支援学校及び外国人学校に在籍する児童・生徒が、人権をテーマとしたポスター(絵画)の制作を通じて基本的人権について理解を一層深め、人権尊重の精神を養う機会とするため、昭和59年度から実施しています。
令和3年度の人権擁護啓発ポスターコンクールには、179校から4,285点の応募をいただき、入選者が以下のとおり決定しました。
12団体賞受賞作品の紹介
知事賞
京都府立福知山高等学校2年
三冨 樺乃(みとみ かの)さん
講評
「あなたのままでいいんだよ 色んな花があるように」と優しく語りかける言葉によって、草原の色とりどりの花に気付きます。この花々のように様々な個性の人々が協働し、未来の社会が作られると伝えているのかもしれません。筆跡を生かした雲、細やかな色使いなどに高校生の技能の高まりを感じます。物語の一場面のような描写と温かな言葉とが調和し、多様性や個性が尊重された社会が永遠に続いてほしいという願いが伝わってきます。
京都市長賞
京都市立京都京北小中学校9年
杉本 てん(すぎもと てん)さん
講評
「世界満開」のコピーに各国の国旗が梅の形に見立てられ、目を引きつつ、コピーの言葉と描かれているものの関係をじっくり考えさせてくれる作品です。一瞬どんな意味だろうと考えつつ「満開」という非常に明るいメッセージが作者の思いや願いを感じ取ることができます。国旗はよく取り上げられますがこのように形を変えると、非常に新鮮に映り作者のセンスを感じさせます。金色の背景も各国の国旗と梅の形を引き立て非常に美しい画面に仕上がっています。色彩の使い方、キャッチコピー、フォントの選択が非常にユニークで魅力的なポスターです。
京都府教育委員会教育長賞
木津川市立城山台小学校6年
山下 紗瑛(やました さえ)さん
講評
シャボン玉の中には、年齢や人種、性別、身体的特徴などが異なる、6年生の視点からみた身近な人々が描かれています。それぞれの人物は優しく微笑んでいるような表情で、みんなが笑顔で過ごせる社会を願う気持ちが絵から伝わってきます。奥から手前にかかる虹のダイナミックな構成やシャボン玉の透明感、人物の表情など、一人一人の笑顔を願い丁寧に描かれています。思いを込めたシャボン玉が、見る人にも届きますように。
京都市教育長賞
京都市立修学院中学校の生徒さん
講評
「みんなの笑顔が未来の光」というコピーの通り、ハートを抱いた太陽の下で子どもたちが手をつなぎ笑っている姿を描いたこの作品は、構図や配色、描かれているモチーフも非常にシンプルに仕上げられている作品ですが、手をつないでいる子供たちの姿、太陽の微妙に変化をつけた色づかいなど、作者の細部の工夫が見て取れます。キャッチコピーからも人権について考える時に、何を大切にしたいのか作者の中学生らしい豊かな感性が感じられる作品です。
京都府市長会会長賞
木津川市立南加茂台小学校4年
北村 亜唯音(きたむら あいね)さん
講評
髪型や表情、服の違ういろいろな友達が手をつないで輪になっており、背景には大きな丸い虹が構成されています。色や形がまとまりのあるポスターです。虹を円にしているところが面白く、この虹色のグラデーションの効果によって、なかよしの温かい気持ちが、外へ外へと広がっていくように見えます。みんな友達だよ、仲良くしようね、と呼びかけられているようです。
京都府町村会長賞
精華町立精華台小学校4年
中山 蘭花(なかやま らんか)さん
講評
コロナと共にある生活や社会の中で、子どもたちの学校生活も以前の様にはいかないことが多くあります。マスクで予防しながらも、満面の笑みで友達と一緒に過ごせる喜びが表されています。ポスターを描いている時期はこんなに近距離でいることは難しかったかもしれませんが、絵に心の距離が縮まった様子を描いたのでしょう。「起こせ笑顔のクラスター」という言葉に、みんなを笑顔にしたい作者の気持ちが込められています。時代を象徴する言葉選びが光ります。
京都府人権擁護委員連合会長賞
京丹後市立弥栄中学校3年
吉岡 結愛(よしおか ゆめ)さん
講評
年齢や性別、身体的特徴の異なる多様な人が描き分けられています。よく見るとそれぞれの人物は、本やぬいぐるみ、サッカーボールを持っていて、好きなことや得意なことも違うということが表されています。髪や肌の色も少しずつ違います。右下の筆を持つ人は作者でしょうか。「自分らしく生きる」という短いキャッチコピーで、みんなそれぞれ違っているけれど、その個性を尊重しよう、自分らしく生きようと端的に伝えています。
京都商工会議所会頭賞
京都市立嵯峨小学校5年
稲葉 匡(いなば こう)さん
講評
「人を想う その心が未来を作る」キャッチコピーに込められた力強いメッセージが、魅力的な構図とストーリー性をもって描かれています。地球のモチーフには、「人を想う」姿が2つのパターンで描かれ、国を超えて大切にしたい思いやりの姿が、作者の願いとなり、表現されています。宇宙から地球を見守る鳩の表情はなんとも穏やかで、未来への希望を感じさせます。色のバランスや筆使いの巧みな工夫に作者の表したい思いがあふれています。
京都府商工会連合会会長賞
南丹市立胡麻郷小学校3年
西山 愛桜(にしやま あいら)さん
講評
大きな笑顔が元気よく描かれており、見る人を前向きな気持ちにしてくれます。「ぽかぽか言葉で 心もぽかぽか」とあるように、特定の言葉ではなくて、「ぽかぽか言葉」としたことで、「どんな言葉がぽかぽか言葉なんだろう」と、見る人に考えさせることができます。ぽかぽか言葉で、みんなの心もぽかぽかになってほしいなぁ、ぽかぽかにしたいなあという児童の願いを感じるポスターです。
京都府中小企業団体中央会会長賞
向日市立第4向陽小学校2年
松岡 莉帆(まつおか りほ)さん
講評
友達と仲良くお弁当を食べている様子が描かれています。画面いっぱいの花や2人の表情から楽しい気持ちが伝わります。周りの花や葉はステンシルの技法で型紙を使って表されています。クレヨンで直接描いた人物と、ステンシルで描いた花の質感の違いも面白いポスターです。友達となかよく過ごした時間を思い出しながら、楽しく描いている様子が浮かんできます。
京都府農業協同組合中央会会長賞
長岡京市立長岡第四小学校1年
吉田 葵(よしだ あおい)さん
講評
「さかせようおもいやりのはな」の「はな」という文字が、花の絵の中に書かれています。泣いている女の子に大きなひまわりの花とピンクの花を渡そうとしている姿から、友達を思いやる作者の温かい優しい気持ちが伝わってきます。背景の青色にひまわりの黄色が映えて、ぱっと目に入ります。人を思いやることの大切さを教えてくれます。周りにもいろいろな花が散りばめられ優しい気持ちが広がっていくようです。
京都府社会福祉協議会会長賞
精華町立東光小学校1年
内本 楓雅(うちもと ふうが)さん
講評
今年度やっと開催されたオリンピック。開催中にポスターを描いていたのでしょうか。「みんなのえがおがきんめだる」という言葉と、手をつないでみんなで万歳している姿がほほえましく、元気を与えてくれるポスターです。よく見ると全員が同じ高さの金色の台に乗っており、胸には全員金メダルが輝いています。1年生の児童の素直な気持ちが表れた、何とも微笑ましいポスターです。みんなが笑顔で暮らせるといいなと見る人にも思わせてくれます。
応募作品全体講評
今年も多くの学校で「人権擁護啓発ポスターコンクール」に取り組んでいただき、たくさんの力作が集まりました。本コンクールは、基本的人権について理解を一層深め、人権尊重の精神を養う機会とすることを目的として実施しています。また、自分の思いを作品で表現するという図画工作や美術の学習の機会としても活用されています。ポスターを見ると、1枚1枚に作者の思いや願いが感じられ、温かい気持ちになりました。
小学校低学年では、自分や友達、家族などを見つめ、こうだったらいいなあ、こんなふうにしたいなあ、と楽しみながら絵に表した作品が多く見られました。小学校高学年になると、学校や地域へと視野が広がり、人権について学んだ気付きや意志、伝えたいことなどを中心にして構想を練って取り組んでいる作品が多くなりました。中学生や高校生になると、文化理解や価値観なども含めて人権を捉えようとする作品や、より伝わるポスターにするために内容を焦点化したり、表現方法を取捨選択したりして、効果的に表そうとしている作品が多くありました。
全体に、一般化された絵や言葉から1歩進んだ、考え抜かれたオリジナリティーのある作品には、見る人の心を動かす力強さがありました。
本コンクールに取り組んだことが、人権について考え行動していく態度につながっていくことを願っています。ポスターを見てくださった多くの方々にも、子ども達が作品に込めた思いや願いが伝わり、広がっていきますように。
令和3年度受賞作品
上記12団体賞のほか、優秀賞33点、佳作55点の入選作品があります。
※学校名及び学年は受賞時のものです。