世界人権宣言70周年京都アピールを発表しました。

京都府、京都人権啓発推進会議、京都市、京都地方法務局及び公益財団法人世界人権問題研究センターでは、基本的人権尊重の原則を定め、初めて人権保障の目標や基準を国際的にうたった世界人権宣言を記念し、その意義や理念を再確認するとともに、すべての人の人権が尊重される社会の実現を目指す決意を新たにするため、「世界人権宣言70周年記念京都アピール」を策定しました。

世界人権宣言70周年京都アピール

1948(昭和23)年12月10日、第2次世界大戦の悲惨な戦争を教訓として、第3回国際連合総会において、「世界人権宣言」が採択されました。同宣言の前文は、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等で奪いえない権利を認めることが、世界における自由、正義及び平和の基礎をなす」と述べています。人権の尊重は、世界の自由、正義そして平和の基礎であるというのです。しかし、そうした人権の尊重のためには、世界の人びとや国が共通に尊重すべき人権とは何かを示す必要があります。そのために作られたのが世界人権宣言でした。そして、本年は、世界人権宣言が採択されてから70周年の記念すべき年に当たります。

世界人権宣言の採択後、「国際人権規約」、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」、「児童の権利に関する条約」、「障害者の権利に関する条約」など、多くの人権条約が採択されました。これらの条約の出発点になっているのが、世界人権宣言です。さらに、1994(平成6)年には、「人権教育のための国連10年」が、2004(平成16)年には、「人権教育のための世界計画」が相次いで決議され、21世紀が人権の世紀となるよう世界各国で人権教育が推進されてきました。

しかしながら、世界は今なお、地域紛争や自然災害、難民問題や貧困など、平和と人権を脅かす事態に直面しています。我が国に目を移しても、部落差別や外国人等に対するヘイトスピーチ、女性・子ども・高齢者・障害のある人等への暴力や虐待などが依然として存在しています。また、新たにインターネットの発展に伴い、その匿名性や情報発信の容易さを悪用した、ネット上の人権侵害が横行するなど、人権問題は、複雑化、多様化、複合化しています。

こうした中、国連は、2015(平成27)年に「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択し、貧困の解消、ジェンダー平等の実現、不平等の是正などを目指し、「誰一人取り残さない」との理念を掲げました。我が国では、翌年の2016(平成28)年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、6月に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」のいわゆる人権三法が施行されました。いずれも国民はもとより、国や地方公共団体が取り組むべき責務を明らかにしています。これらの人権問題の解決に向けた取組を積極的に進めることが必要となっています。また、いわゆるLGBTなど、性的少数者への偏見や差別、不当な取扱いによる生きづらさの解消等も重要な課題となっています。

こうした様々な人権問題の状況等を踏まえ、『世界人権宣言』70周年を契機として、私たちは、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等である」と宣言した、世界人権宣言の理念とその意義を今一度確認し、一人ひとりの尊厳と人権が尊重され、だれもが自分らしく生きることのできる社会の実現を目指して、共に考え、そして力強く行動していきましょう。

2018(平成30)年11月18日

京都府知事・京都人権啓発推進会議会長 西脇 隆俊
京都市長 門川 大作
京都地方法務局長 田中 茂樹
公益財団法人世界人権問題研究センター理事長 大谷 實

 

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