人権擁護啓発ポスターコンクールは、府内の小・中・高等学校の児童・生徒が、人権をテーマとしたポスター(絵画)の制作を通じて基本的人権について一層理解を深め、人権尊重の精神を養う機会とするため、昭和59年度から実施しています。今年度のコンクールには、178校から4,841点の応募をいただき、以下のとおり入選者が決定いたしました。
作品の紹介
知事賞
京都府立綾部高等学校 3年
村上 香奈(むらかみ かな)さん
寸評
女の子が、身を乗り出していっしょうけんめい小さな声を聞こうとしています。心の声は聞こえないかもしれないけれど、「だいじょうぶ安心して、私がいるから」と女の子の表情から伝わってきます。伝えたいことをしぼってシンプルにまとめたからこそ作者の思いがストレートに響いてきます。
京都市長賞
京都市立東総合支援学校中学部 3年
髙田 美貴(たかだ みき)さん
寸評
たくさんの人物が,描画材の効果を生かした透明感のある美しい色彩で表現されています。「私には,なかよしの友達がたくさんいるんだよ」という作者の声が聞こえてくるようです。中心にある車が,虹のような美しい色で丁寧に塗り分けられ,希望を表しているように感じられます。その周りには,とても楽しそうに笑っている友達がこちらに向かってほほ笑んでいます。服もそれぞれ工夫した彩色で表現し一人一人の表情にも工夫が見られます。多くの人物を描きながら,統一感を感じさせる素晴らしい作品です。
京都府教育委員会教育長賞
八幡市立男山東中学校 2年
谷岡 ゆり(たにおか ゆり)さん
寸評
誰かがふんでしまったのでしょうか、照りつける太陽のもと、傷ついていてもがんばるタンポポを応援しています。その子も足にすりきず、いっしょうけんめい走って転んだのでしょうか。必ず応援してくれる仲間がそばにいることを教えてくれます。希望と元気を与えてくれる作品です。
京都市教育委員会教育長賞
京都市立藤ノ森小学校 6年
井口 裕佑真(いぐち ゆうま)さん
寸評
友達と手と手を握り合うと,何だか気持ちが温かくなります。そんな何気なく嬉しい心のふれあいが,子どもたちの優しい笑顔となって表されているのでしょう。言葉に合わせて,全体的に柔らかく落ち着いた色調でまとめられています。絵を見る人も穏やかで優しい気持ちになれる作品です。
京都府市長会会長賞
京都市立修学院中学校 2年
大道 未青(だいどう みお)さん
寸評
全体が青系の色調で統一され落ち着いた感じの配色で構成されています。シルエットにすることで,人物の体型や年齢,性別は分かりますがそれ以外が省略され,却ってその違いが強調されています。また,文字がレインボーカラーのような色で美しく彩色され,画面全体を引き締める効果とともに,テーマを際立たせています。
京都府町村会長賞
宇治田原町立宇治田原小学校 5年
松井 麻音(まつい まの)さん
寸評
四つ葉のクローバーは幸福のシンボル。つらいことやいやなことがおそいかかっても手を差し出せば助けることができる。みんなが笑顔で迎えれば、泣いていた女の子も安心して笑顔になることでしょう。手と手がつながる温かさを色で表現した作品です。
京都府人権擁護委員連合会長賞
与謝野町立加悦中学校 1年
大木 香穂(おおき かほ)さん
寸評
かけがえのない命は家族からの贈り物。家族の笑顔に包まれ、大切に運ばれてきたことが伝わってきます。空にかかる大きな虹が希望とともに未来の次の命へつながっていくことを感じさせます。あざやかな色とリズミカルな構成で、音楽が響いてきそうな作品です。
京都商工会議所会頭賞
京都市立大宮小学校 6年
國井 優(くにい ゆう)さん
寸評
身近な人が手を取り合い,思いやり合うことで感謝の気持ちが生まれることが伝わってくる作品です。地球をイメージした花のモチーフや楽しい音が聞こえてきそうな楽器,かわいい猫と言葉が互いに響き合うように構成されています。色の組み合わせや濃淡の変化などによる効果をよく考えて工夫して表しています。
京都府商工会連合会会長賞
精華町立精華台小学校 3年
花岡 里彩(はなおか りさ)さん
寸評
大きなハートから、ひまわりがパッと元気に花開くように笑顔が咲きました。それが次から次へと咲くような動きのある作品です。その笑顔を大切にしたい、広げていきたいということがよく伝わってきます。はっきりとした色でていねいに描いた作品です。
京都府中小企業団体中央会会長賞
宇治田原町立田原小学校 2年
西出 菜実(にしで なみ)さん
寸評
みんな明るく素敵な笑顔で、「かわいい、いっしょに遊ぼう」と元気よく動物に声をかけている様子が伝わってきます。花や草木、動物もみんな友だちという思いが素直に伝わってきます。明るい色彩で絵の具やパステルの特色をうまく生かした作品です。
京都府農業協同組合中央会会長賞
南丹市立新庄小学校 2年
井上 紗織(いのうえ さおり)さん
寸評
「みんな大すき」って言うのはなかなか難しいことです。みんな同じ気持ちにならなくてはいけません。なにより大切なのはまず自分からみんなを好きになることです。肩を寄せ合い、つらいことも楽しいことも一緒にがんばろう、そんな気持ちが伝わってくる表情が素敵な作品です。
京都府社会福祉協議会会長賞
福知山市立菟原小学校 2年
寺地 悠太郎(てらじ ゆうたろう)さん
寸評
フッとひとふき、ふわっと空高くタンポポの綿毛が友だちの笑顔をのせて、青空に広がって飛んでいきます。それがまた花となって広がっていくことでしょう。多くの友だちの顔の表情をていねいに描いた作品です。一人一人を思い浮かべながら描いている様子が伝わってきます。
応募作品全体講評
今年も多くの学校で「人権擁護啓発ポスターコンクール」への取組をしていただき、たくさんの力作が集まりました。作品一枚一枚に込められたメッセージや優しい心に触れることができ心温まりました。
多くの作品が人物を中心に描かれていました。人物は絵の題材で最も多く扱われ、一番難しい題材でもあります。特に顔の表情は少しでも形が変わるだけで違うものになってしまいます。では、表情をうまく描くためにはどうすればいいのでしょうか。一つの方法として自分自身がその気持ちになって描くと、不思議と表情がうまく表現できます。怒った顔をして描くと絵は怒った顔に、うれしい顔をして描くとうれしい顔になります。いい表情の作品をみつけると、絵の中の人物、友だちや家族の気持ちになって熱心に描いている姿を想像しながら審査していました。
学年が上がるにつれて、感じたことから伝えたいことへ変化していくのが分かります。色彩や画材の工夫がされ、人権に関わる様々な問題や課題を考えながら自分のメッセージをしっかりと持った作品が多くなります。描かれている内容、メッセージ、全体のバランスなどポスターとしての完成度が高くなっていきます。今回入選した作品はそれらがまとまっていて、特に印象付けられた作品でした。
今後も、本コンクールが、人権を身近な問題として考える機会とすることを第一の目的としながら、優しさや思いやる気持ちを大切にして、自分のイメージを広げ、色や形を工夫し創作する図画工作・美術教育の充実を図る取組として、活用されていくことを願います。同時に、作品に描かれたように、人権を大切にした社会が未来を担う子どもたちの笑顔で広がっていくことを心から願っています。
※他に優秀賞34点、佳作54点があります。
平成25年度人権擁護ポスターコンクール 受賞者一覧(PDF:220KB)
※学校名・学年は、受賞時のものです。